Read the New Testament in 24 Weeks
バプテスマのヨハネ
3 ヨセフの一家がナザレに住んでいたころ、バプテスマのヨハネがユダヤの荒野で教えを宣べ始めて、言いました。 2 「悔い改めて、神に立ち返れ。神の国が近づいたからだ。」 3 このバプテスマのヨハネの働きについては、その数百年前、すでに預言者イザヤが語っています。
「荒野から叫ぶ声が聞こえる。
『主のための道を準備せよ。
主が通られる道をまっすぐにせよ。』」(イザヤ40・3)
4 ヨハネはらくだの毛で織った服に皮の帯をしめ、いなごとはちみつを常食にしていました。 5 このヨハネの教えを聞こうと、エルサレムやヨルダン川流域だけでなく、ユダヤの全土から、人々が荒野に押しかけました。 6 神にそむく生活を送っていたことを全面的に認め、それを言い表した人たちに、ヨハネはヨルダン川でバプテスマ(洗礼)を授けました。
7 ところが、パリサイ派(特に律法を守ることに熱心なユダヤ教の一派)やサドカイ派(神殿を支配していた祭司階級。ユダヤ教の主流派)の人々が大ぜい、バプテスマを受けに来たのを見て、ヨハネは彼らをきびしく責めました。「まむしの子たち! だれがおまえたちに、もうすぐ来る神のさばきから逃れられると言ったのか。 8 バプテスマを受ける前に、悔い改めにふさわしいことをしなさい。 9 『私はユダヤ人だから、アブラハムの子孫だから大丈夫』などと思ってはいけない。そんなことは何の役にも立たない。神はこんな石ころからでも、今すぐアブラハムの子孫をお造りになれるのだ。
10 今にでも、神はさばきの斧をふり上げ、実のならない木を切り倒そうと待ちかまえておられる。そんな木はすぐにも切り倒され、燃やされるのだ。
11 私は今、罪を悔い改める者たちに水でバプテスマを授けている。しかし、まもなく私など比べものにもならない、はるかに偉大な方がおいでになる。その方のしもべとなる価値さえ、私にはない。その方は、聖霊と火でバプテスマをお授けになり、 12 刈り入れの時が来たら、麦ともみがらをふるい分け、麦は倉に納め、もみがらは永久に消えない火で焼き捨ててしまわれる。」
イエス、バプテスマを受ける
13 そのころイエスは、ガリラヤからヨルダン川へ来て、ヨハネからバプテスマ(洗礼)を受けようとされました。 14 ところが、ヨハネはそうさせまいとして言いました。「とんでもないことです。私こそ、あなたからバプテスマを受けなければなりませんのに。」
15 しかしイエスは、「今はそうさせてもらいたい。なすべきことは、すべてしなければならないのです」とお答えになり、ヨハネからバプテスマを受けました。
16 イエスが、バプテスマを受けて水から上がって来ると、突然天が開け、イエスは、神の御霊が鳩のようにご自分の上に下るのをごらんになりました。 17 その時、天から声が聞こえました。「これこそ、わたしの愛する子。わたしは彼を心から喜んでいる。」
悪魔に試される
4 それからイエスは、聖霊に導かれて荒野に出て行かれました。悪魔に試されるためでした。 2 イエスはそこで、まる四十日間、何一つ口にされなかったので、空腹を覚えられました。 3 悪魔が誘いかけてきたのは、その時です。「ここに転がっている石をパンに変えてみたらどうだ。そうすれば、あなたが神の子だということがわかる。」
4 しかしイエスは、お答えになりました。「いいえ。聖書には、『人はただパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばによる』(申命8・3)と書いてある。わたしたちは、神のすべてのことばに従うべきなのです。」
5 すると悪魔は、イエスをエルサレムに連れて行き、神殿の一番高い所に立たせて言いました。 6 「さあ、ここから飛び降りてみろ。そうすれば、あなたが神の子だということがわかるだろう。聖書に、『神は、天使を送って、あなたを支えさせ、あなたが岩の上に落ちて砕かれることのないように守られる』(詩篇91・11―12)と、はっきり書いてあるのだから。」
7 イエスは言い返されました。「『あなたの神である主を試してはならない』(申命9・16)とも書いてあるではないか。」
8 次に悪魔は、非常に高い山の頂上にイエスを連れて行きました。そして、世界の国々とその繁栄ぶりとを見せ、 9 「さあ、ひざまずいて、この私を拝みさえすれば、これを全部あなたにやろう」とそそのかしました。
10 「立ち去れ、サタン! 『神である主だけを礼拝し、主にだけ従え』(申命6・13)と聖書に書いてあるではないか。」イエスは悪魔を一喝しました。
11 すると悪魔は退散し、天使たちが来て、イエスに仕えました。
宣教を始める
12 イエスはヨハネが捕らえられたと聞くと、ユダヤを去って、ガリラヤのナザレにお帰りになり、 13 まもなくゼブルンとナフタリに近い、ガリラヤ湖畔のカペナウムに移られました。 14 これは、イザヤの預言が実現するためでした。
15-16 「ゼブルンとナフタリの地、海沿いの道、
ヨルダン川の向こう岸、
多くの外国人が住んでいる北ガリラヤ。
そこで暗闇の中にうずくまっていた人たちは、
大きな光を見た。
死の陰の地に座っていた彼らの上に、
光が差した。」(イザヤ9・1―2)
17 その時から、イエスは宣教を始められました。「悔い改めて神に立ち返りなさい。神の国が近づいているから。」
18 ある日、イエスがガリラヤ湖の岸辺を歩いておられると、シモン〔別名ペテロ〕とアンデレの二人の兄弟が舟に乗り、網で漁をしているのに出会いました。彼らは漁師でした。
19 イエスが、「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしてあげよう」と声をおかけになると、 20 二人はすぐに網を捨て、イエスについて行きました。
21 しばらく行ったところで、今度は別の二人の兄弟ヤコブとヨハネが、父のゼベダイといっしょに舟の中で網を直しているのを見つけ、そこでも、ついて来るようにと声をおかけになりました。 22 彼らはすぐ仕事をやめ、父をあとに残して、イエスについて行きました。
23 イエスはガリラヤ中を旅して、ユダヤ人の会堂で教え、あらゆる場所で福音(イエス・キリストによる救いの知らせ)を宣べ伝え、さらに、あらゆる病気や苦しみをいやされました。 24 このイエスの奇跡の評判は、ガリラヤの外にまで広がったので、シリヤのような遠方からも、人々は病人を連れてやって来ました。悪霊につかれた人、てんかんの人、中風(脳の出血などによる半身不随、手足のまひ等の症状)の人など、その病気や苦しみがどのようなものであろうと、一人残らず治るのです。 25 こうして、イエスがどこに行かれても、たいへんな数の群衆があとをついて行きました。それは、ガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤのあらゆる所から来た人々で、中にはヨルダン川の向こうから来た人もいました。
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